スタンダードなこと
「カタチ」に着目して進めている今期のこども美術館講座。
今回は草花をワリバシペンで描くというスタンダードな内容でした。
まずはいろんな線を引く練習。
いつもは様々な年齢の子どもが一緒になって活動するのですが、今回は就学児と未就学児に班を分け制作を進めました。
「目の前にあるもの全体をとらえようとすることができる」か「気になった部分を抽出して描こうとするか」の違いがあるからです。
今回のねらいは「草花がどのような形の組み合わせでできているかしっかり観察すること」。
未就学児の場合は、いろんな花が入った花瓶を置いておくだけでは描けないので、1種類ずつ皆で観察しながら草花の特徴を確認し、標本のように、一種類ずつ描いていきます。
すると、一般的な写生では複雑で描きにくいカタチも、自分が確認した情報を元にその植物の特徴を大事に描くことができるようになります。
4歳児と5歳児でもかなり描き方が違います。
例えばオミナエシの場合(8月~10月に咲く花ですが、実家で早々と咲いていたものを摘んでいきました)。
「小さな花がとにかく沢山ついている」という認識をした4歳児は、小さな花を沢山並べて描きました。「小さな沢山の花が1つの茎でつながっていること」に感動したのではなく、「沢山の小さな花を見つけたこと」に感動したのだろうなと感じました。
また、多くの5歳児は真っ直ぐに伸びた茎を最初に描き、次に小さな花を描いていきました。
描くうちに、これは全体を丸く描いて中に点々を描いていけば花の感じが出せると気付く子どもも出てきます。
この様子から、5歳児は花全体を掴んでいるのではないかと推察されます。
小学生になると、いろんな種類の花が入った花瓶ごと全体を捉えられるようになります。余白を活かしてスッキリと完成させる子ども、華やかに画面全体に着彩する子ども、いろいろです。
年齢による描き方、認識の違いに触れることができ、大変勉強になりました。
見えるものをしっかり観察して描くという題材でしたが、とても集中して取り組めていたように感じます。
スタンダードな題材には、それだけ魅力があるということを確認した1日でした。