12年を経て
10年前。
初個展の時の会場の一隅。
真ん中の作品は12年前に制作した30号。
10年ぶりに作品を保管している倉庫から取り出し、
薄暗くなる頃、モデルをつとめてくれた友人宅へ。
10年以上時間が経過すると、すっかり自分の手から離れていて、
こんな描き方をしていたのか、こんな色を作っていたのかと、新鮮な気持ちで眺めることができ、「いい絵じゃなぁ」と他人の作品のように、素直に口から感想がこぼれました。
その時々で評価を受け、その結果に一喜一憂してしまいますが、
その時にしか描けない絵というものが確かにあって、
それがキラキラと見える瞬間が訪れることもあってー。
作品に古い新しいはなく、
美しさにもいろいろな質があり、
結局、今、自分にとって心がふるえるものであるかどうか、
そういう、捉えどころのない、曖昧なような、それでいて時に強く鷲掴みにされるような、
そんな世界に自分がいることを感じた夜でした。